歴史と由来

海龍王寺の四季

春を迎えると、五色椿と袖隠しという白い大輪の花をつける椿が花をつけはじめ、紅梅に白梅が花を開き、その後、雪柳の枝に白い花が咲き始めて満開となるころには境内は白一色に彩られ、桜が花を添える美しさは「大和一の雪柳」という称号を得ています。
雪柳が終わると新芽が芽吹き始め、極楽からの余り風が緑に囲まれた境内を渡り木々の葉がそよそよと音を立てるありさまは、山の中の古寺を訪れたような錯覚を感じさせるでしょう。また盛夏の頃になると、滝のようなセミ時雨が境内を包み込みます。
赤とんぼの乱舞が始まり、自然生のわずかなコスモスが花を咲かせ、紅葉の始まった木々から秋の木漏れ日がのぞくと、海龍王寺にも秋が訪れてきます。夕方近くになると、あちこちから虫の音が聞こえ始め、静かな境内と相まって深まる秋を感じることができます。11月初めに催される布薩の行法は夜間に行うので、道行の灯りと虫の声に僧侶の声明とが重なって、秋の夜長をひときわ感じることができます。
冬の澄んだ冷たい空気の季節になると、境内は厳粛な空間へと様を変えます。粉雪が降ると木々がさらさらと音を立て、枯れた雪柳の枝に雪が積もると、一年に二度雪柳の花が咲くこととなります。訪れる方の少ない時期に心おきなく仏像を拝みたいと思われる方が、訪れられる季節でもあります。
木々に囲まれた海龍王寺は静かでゆるやかな時間が流れています。仏像や建造物を見たり、あるいはお堂の縁側などに座ってみると、1300年前の人も吸ったであろう空気や見上げた空を体感出来るのが海龍王寺の特徴です。