寺門勅額(じもんちょくがく)

明治初年まで寺門に掲げられていたものであり、海龍王寺縁起には、天平三年(731年)聖武天皇が当寺に寺額を賜うた事が記されています。檜で造られており、鏡版の彩色はわかりませんが、額縁は黒漆地に彩色された唐戸面に白縁が残っているとともに蓮華唐草の彩色がわずかに残っています。尚、この額は、平城京に完成した朱雀門の門額の雛形となりました。 - 奈良時代(国指定重要文化財)

隅寺心経(すみでらしんぎょう)

天平時代に書写された般若心経で、隅(角)寺心経として著名な心経です。心経を各一紙に一部書かれたものを十部つなぎ、一巻の巻物に仕立てていますが、この心経のようなまとまった数少ない遺例です。また、般若心経を誦えることによる功徳を表す「功徳文」三行を本文末に付しているところが通常の般若心経と異なるところです。弘法大師も渡唐の無事を祈願して般若心経一千巻を当寺に納経しておられ、遺巻が弘法大師筆と書かれた箱に納められていたことがわかっています。 - 奈良時代(市指定文化財)

舎利塔(しゃりとう)

水晶の宝珠形舎利容器を金銅の四方火焔で包み、精緻な金銅製台座を備えた火焔宝珠形の舎利塔です。各部に透かし彫りや浮き彫りなどを多用した彫金技巧の冴えが見られ、鎌倉時代以降に流行した火焔宝珠形舎利塔の中では最も優れた製作であり、代表作ともいえます。 - 鎌倉時代(国指定重要文化財)

仏涅槃図(ぶつねはんず)

釈迦入滅の情景を描いており、中央、沙羅双樹に囲まれた宝台のうえに釈迦が横たわり、周囲には悲嘆にくれる菩薩・比丘・羅漢・官人・婦女子・神将・鬼神。獅子・白像をはじめ三十数種の禽獣が居並んでいます。この涅槃図は、慟哭する人物の表情など激しからず節度をもって描かれ、彩色も朱・緑青・群青とともに桃・橙・白緑・白群など具がかった彩色を使用しており、全体的に落ち着いた明るい調子で描かれています。 - 鎌倉時代末期(市指定文化財)

毘沙門天画像(びしゃもんてんがぞう)

本画像のように毘沙門天が邪鬼を踏むことなく、また眷属を伴わず独尊で宝塔と戟を執り岩の上に立つ姿で描かれるのは彩色画像では例がなく、また黒い長靴を履いて左脚を遊ばせて立つ姿態は類例を見ないことから極めて特異な尊像といえます。しかし、海龍王寺が創建される以前から毘沙門天をまつった寺院が存在し、なおかつ平城京の東北隅にあって隅寺と呼ばれていたことを考えれば、北方位の守護神である毘沙門天が独尊でまつられていたとみることができます。 - 平安時代(国重文)